Status of Residence
在留資格のポイント
在留資格制度の概要
在留資格とは
在留資格とは、外国人が日本に在留して活動を行う上での資格のことをいいます。入管法の「別表第一」「別表第二」に29種類が設定されています。
在留資格一覧
- 外交
- 公用
- 教授
- 芸術
- 宗教
- 報道
- 高度専門職
- 経営・管理
- 法律・会計業務
- 医療
- 研究
- 教育
- 技術・人文知識・国際業務
- 企業内転筋
- 介護
- 興行
- 技能
- 特定技能
- 技能実習
- 文化活動
- 短期滞在
- 留学
- 研修
- 家族滞在
- 特定活動
- 永住者
- 日本人の配偶者等
- 永住者の配偶者等
- 定住者
外交
日本国政府が接受する外国政府の外交使節団若しくは領事機関の構成員,条約若しくは国際慣行により外交使節と同様の特権及び免除を受ける者又はこれらの者と同一の世帯に属する家族の構成員としての活動
該当例
外国政府の大使、公使、総領事、代表団構成員等及びその家族
在留期間
外交活動の期間
公用
日本国政府の承認した外国政府若しくは国際機関の公務に従事する者又はその者と同一の世帯に属する家族の構成員としての活動(この表の外交の項に掲げる活動を除く。)
該当例
外国政府の大使館・領事館の職員,国際機関等から公の用務で派遣される者等及びその家族
在留期間
5年,3年,1年,3月,30日又は15日
教授
本邦の大学若しくはこれに準ずる機関又は高等専門学校において研究,研究の指導又は教育をする活動
該当例
大学教授等
在留期間
5年,3年,1年又は3月
芸術
収入を伴う音楽,美術,文学その他の芸術上の活動(この表の興行の項に掲げる活動を除く。)
該当例
作曲家,画家,著述家等
在留期間
5年,3年,1年又は3月
宗教
外国の宗教団体により本邦に派遣された宗教家の行う布教その他の宗教上の活動
該当例
外国の宗教団体から派遣される宣教師等
在留期間
5年,3年,1年又は3月
報道
外国の報道機関との契約に基づいて行う取材その他の報道上の活動
該当例
外国の報道機関の記者,カメラマン
在留期間
5年,3年,1年又は3月
高度専門職
1号
高度の専門的な能力を有する人材として法務省令で定める基準に適合する者が行う次のイからハまでのいずれかに該当する活動であって,我が国の学術研究又は経済の発展に寄与することが見込まれるもの
イ
法務大臣が指定する本邦の公私の機関との契約に基づいて研究、研究の指導若しくは教育をする活動又は当該活動と併せて当該活動と関連する事業を自ら経営し若しくは当該機関以外の本邦の公私の機関との契約に基づいて研究,研究の指導若しくは教育をする活動
ロ
法務大臣が指定する本邦の公私の機関との契約に基づいて自然科学若しくは人文科学の分野に属する知識若しくは技術を要する業務に従事する活動又は当該活動と併せて当該活動と関連する事業を自ら経営する活動
ハ
法務大臣が指定する本邦の公私の機関において貿易その他の事業の経営を行い若しくは当該事業の管理に従事する活動又は当該活動と併せて当該活動と関連する事業を自ら経営する活動
該当例
ポイント制による高度人材
在留期間
5年
2号
1号に掲げる活動を行った者であって,その在留が我が国の利益に資するものとして法務省令で定める基準に適合するものが行う次に掲げる活動
イ
本邦の公私の機関との契約に基づいて研究,研究の指導又は教育をする活動
ロ
本邦の公私の機関との契約に基づいて自然科学又は人文科学の分野に属する知識又は技術を要する業務に従事する活動
ハ
本邦の公私の機関において貿易その他の事業の経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動
ニ
2号イからハまでのいずれかの活動と併せて行うこの表の教授,芸術,宗教,報道,法律・会計業務,医療,教育,技術・人文知識・国際業務,介護,興行,技能,特定技能2号の項に掲げる活動(2号イからハまでのいずれかに該当する活動を除く。)
該当例
ポイント制による高度人材
在留期間
無期限
経営・管理
本邦において貿易その他の事業の経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動(この表の法律・会計業務の項に掲げる資格を有しなければ法律上行うことができないこととされている事業の経営又は管理に従事する活動を除く。)
該当例
企業等の経営者・管理者
在留期間
5年,3年,1年,4月又は3月
法律・会計業務
外国法事務弁護士,外国公認会計士その他法律上資格を有する者が行うこととされている法律又は会計に係る業務に従事する活動
該当例
弁護士,公認会計士等
在留期間
5年,3年,1年又は3月
医療
医師,歯科医師その他法律上資格を有する者が行うこととされている医療に係る業務に従事する活動
該当例
医師,歯科医師,看護師
在留期間
5年,3年,1年又は3月
研究
本邦の公私の機関との契約に基づいて研究を行う業務に従事する活動(この表の教授の項に掲げる活動を除く。)
該当例
政府関係機関や私企業等の研究者
在留期間
5年,3年,1年又は3月
教育
本邦の小学校,中学校,義務教育学校,高等学校,中等教育学校,特別支援学校,専修学校又は各種学校若しくは設備及び編制に関してこれに準ずる教育機関において語学教育その他の教育をする活動
該当例
中学校・高等学校等の語学教師等
在留期間
5年,3年,1年又は3月
技術・人文知識・国際業務
本邦の公私の機関との契約に基づいて行う理学,工学その他の自然科学の分野若しくは法律学,経済学,社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動(この表の教授,芸術,報道,経営・管理,法律・会計業務,医療,研究,教育,企業内転勤,介護,興行の項に掲げる活動を除く。)
該当例
機械工学等の技術者,通訳,デザイナー,私企業の語学教師,マーケティング業務従事者等
在留期間
5年,3年,1年又は3月
企業内転勤
本邦に本店,支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員が本邦にある事業所に期間を定めて転勤して当該事業所において行うこの表の技術・人文知識・国際業務の項に掲げる活動
該当例
外国の事業所からの転勤者
在留期間
5年,3年,1年又は3月
介護
本邦の公私の機関との契約に基づいて介護福祉士の資格を有する者が介護又は介護の指導を行う業務に従事する活動
該当例
介護福祉士
在留期間
5年,3年,1年又は3月
興行
演劇,演芸,演奏,スポ―ツ等の興行に係る活動又はその他の芸能活動(この表の経営・管理の項に掲げる活動を除く。)
該当例
俳優,歌手,ダンサー,プロスポーツ選手等
在留期間
3年,1年,6月,3月又は15日
技能
本邦の公私の機関との契約に基づいて行う産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する活動
該当例
外国料理の調理師,スポーツ指導者,航空機の操縦者,貴金属等の加工職人等
在留期間
5年,3年,1年又は3月
特定技能
1号
法務大臣が指定する本邦の公私の機関との雇用に関する契約(入管法第2条の5第1項から第4項までの規定に適合するものに限る。次号において同じ。)に基づいて行う特定産業分野(人材を確保することが困難な状況にあるため外国人により不足する人材の確保を図るべき産業上の分野として法務省令で定めるものをいう。同号において同じ。)であって法務大臣が指定するものに属する法務省令で定める相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する活動
該当例
特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を要する技能を要する業務に従事する外国人
在留期間
1年,6月又は4月
2号
法務大臣が指定する本邦の公私の機関との雇用に関する契約に基づいて行う特定産業分野であって法務大臣が指定するものに属する法務省令で定める熟練した技能を要する業務に従事する活動
該当例
特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人
在留期間
3年,1年又は6月
技能実習
1号
イ
技能実習法上の認定を受けた技能実習計画(第一号企業単独型技能実習に係るものに限る。)に基づいて,講習を受け,及び技能等に係る業務に従事する活動
ロ
技能実習法上の認定を受けた技能実習計画(第一号団体監理型技能実習に係るものに限る。)に基づいて,講習を受け,及び技能等に係る業務に従事する活動
該当例
技能実習生
在留期間
法務大臣が個々に指定する期間(1年を超えない範囲)
2号
イ
技能実習法上の認定を受けた技能実習計画(第二号企業単独型技能実習に係るものに限る。)に基づいて技能等を要する業務に従事する活動
ロ
技能実習法上の認定を受けた技能実習計画(第二号団体監理型技能実習に係るものに限る。)に基づいて技能等を要する業務に従事する活動
該当例
技能実習生
在留期間
法務大臣が個々に指定する期間(2年を超えない範囲)
3号
イ
技能実習法上の認定を受けた技能実習計画(第三号企業単独型技能実習に係るものに限る。)に基づいて技能等を要する業務に従事する活動
ロ
技能実習法上の認定を受けた技能実習計画(第三号団体監理型技能実習に係るものに限る。)に基づいて技能等を要する業務に従事する活動
該当例
技能実習生
在留期間
法務大臣が個々に指定する期間(2年を超えない範囲)
文化活動
収入を伴わない学術上若しくは芸術上の活動又は我が国特有の文化若しくは技芸について専門的な研究を行い若しくは専門家の指導を受けてこれを修得する活動(この表の留学,研修の項に掲げる活動を除く。)
該当例
日本文化の研究者等
在留期間
3年,1年,6月又は3月
短期滞在
本邦に短期間滞在して行う観光,保養,スポ―ツ,親族の訪問,見学,講習又は会合への参加,業務連絡その他これらに類似する活動
該当例
観光客,会議参加者等
在留期間
90日若しくは30日又は15日以内の日を単位とする期間
留学
本邦の大学,高等専門学校,高等学校(中等教育学校の後期課程を含む。)若しくは特別支援学校の高等部,中学校(義務教育学校の後期課程及び中等教育学校の前期課程を含む。)若しくは特別支援学校の中学部,小学校(義務教育学校の前期課程を含む。)若しくは特別支援学校の小学部,専修学校若しくは各種学校又は設備及び編制に関してこれらに準ずる機関において教育を受ける活動
該当例
大学,短期大学,高等専門学校,高等学校,中学校及び小学校等の学生・生徒
在留期間
4年3月,4年,3年3月,3年,2年3月,2年,1年3月,1年,6月又は3月
研修
本邦の公私の機関により受け入れられて行う技能等の修得をする活動(この表の技能実習1号,留学の項に掲げる活動を除く。)
該当例
研修生
在留期間
1年,6月又は3月
家族滞在
この表の教授,芸術,宗教,報道,高度専門職,経営・管理,法律・会計業務,医療,研究,教育,技術・人文知識・国際業務,企業内転勤,介護,興行,技能,特定技能2号,文化活動,留学の在留資格をもって在留する者の扶養を受ける配偶者又は子として行う日常的な活動
該当例
在留外国人が扶養する配偶者・子
在留期間
5年,4年3月,4年,3年3月,3年,2年3月,2年,1年3月,1年,6月又は3月
特定活動
法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動
該当例
外交官等の家事使用人,ワーキング・ホリデー,経済連携協定に基づく外国人看護師・介護福祉士候補者等
在留期間
5年,3年,1年,6月,3月又は法務大臣が個々に指定する期間(5年を超えない範囲)
永住者
法務大臣が永住を認める者
該当例
法務大臣から永住の許可を受けた者(入管特例法の「特別永住者」を除く。)
在留期間
無期限
日本人の配偶者等
日本人の配偶者若しくは特別養子又は日本人の子として出生した者
該当例
日本人の配偶者・子・特別養子
在留期間
5年,3年,1年又は6月
永住者の配偶者等
永住者等の配偶者又は永住者等の子として本邦で出生しその後引き続き本邦に在留している者
該当例
永住者・特別永住者の配偶者及び本邦で出生し引き続き在留している子
在留期間
5年,3年,1年又は6月
定住者
法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める者
該当例
第三国定住難民,日系3世,中国残留邦人等
在留期間
5年,3年,1年,6月又は法務大臣が個々に指定する期間(5年を超えない範囲)
外国人が入国審査官から上陸許可を得るための条件
外国人が在留資格を有することは、日本への上陸許可を得るための条件にもなっています。
以下の6点は、外国人が入国審査官から上陸許可を得るための条件となります。
- パスポートを所持していること
- パスポートに査証(ビザ)が記載されていること
- 上陸許可基準のある在留資格についてはその基準を満たしていること
- 外国人が希望している在留期間が適正で虚偽がないこと
- 外国人が上陸拒否事由にあたらないこと
- 入国目的がいずれかの「在留資格」にあたり、それが虚偽ではないこと
在留資格とビザ(査証)の違い
よくある誤解の一つとして、在留資格とビザ(査証)は同じもの、という考えがあります。
しかしながら、在留資格とビザ(査証)は、以下のように異なる概念です。入管関係の案件を携わる中で「在留ビザ」「永住ビザ」という言葉が交わされることがありますが、これは在留資格とビザ(査証)の概念を混同してしまったものと思われます。
在留資格とは
在留資格とは、外国人が、日本に在留して活動を行う上での資格のことをいいます。
ビザ(査証)とは
一方、ビザ(査証)とは、その人物の所持する旅券(パスポート)が有効であり、その人物が入国しても差し支えないと示す証書のことをいいます。
ビザ(査証)は、入国を保証するものではなく、入国許可(上陸許可)申請に必要な書類の一部として理解されている国が大半となっています。在留資格とビザ(査証)は、異なる概念ですので、ご留意ください。
在留資格制度の分類
在留資格は29種類あると述べましたが、在留資格の中には、就労が可能な資格と、就労が不能な資格に分類されます。
就労が可能な資格の中でも、就労できる業務の範囲に制限がない資格(無制限業務就労可能資格)と、就労できる業務の範囲が限定される資格(業務限定就労資格)に分類されます。就労が不能な資格でも、資格外活動許可を得ることで、就労が認められるものもあります。
在留資格を就労可能かどうかという基準で分類すると、以下のように整理することができます。
在留資格の就労可否
在留資格
-
就労可能資格
-
無制限業務就労可能資格
就労可能な業務範囲が
限定されない -
業務限定就労可能資格
就労可能な業務範囲が
限定される
-
就労不能資格
-
一部例外あり
資格外活動許可(入管法19条2項)を
得た場合には、
当該許可の範囲内で就労が認められる -
就労不能
就労が認められる資格
- 無制限業務就労可能資格:就労可能な業務範囲が限定されない
- 業務限定就労可能資格:就労可能な業務範囲が限定される
就労が認められない資格
- 原則:就労不能
- 例外:資格外活動許可(入管法19条2項)を得た場合には、当該許可の範囲内で就労が認められる
在留資格の分類一覧表
在留資格の分類を一覧表の形式で整理すれば、以下のとおりです。
-
就労可能資格
-
無制限業務就労可能資格
就労可能な業務範囲が限定されない永住者、永住者の配偶者等、日本人の配偶者等、定住者
※いずれも地位等類型資格 -
業務限定就労可能資格
就労可能な業務範囲が限定される
該当例
高度専門職(1号)/経営・管理/法律・会計業務/医療/研究/教育/技術・人文知識・国際業務/企業内転勤/介護/興行/技能/技能
上陸許可基準なし
外交/公用/教授/芸術/宗教/報道/特定活動の一部
-
就労不能資格
-
一部例外あり
資格外活動許可(入管法19条2項)を得た場合には、当該許可の範囲内で就労が認められる -
就労不可
該当例
留学/研修/家族滞在
上陸許可基準なし
文化活動/短期滞在/特定活動の一部
在留資格ごとの在留資格該当性
在留資格該当性
在留資格とは、外国人が、日本に在留して活動を行う上での資格のことをいいます。それぞれの在留資格の基礎となる活動内容が在留資格該当性であり、入管法別表において規定されています。
また、業務限定就労可能資格をもって在留する外国人について、就労が認められる範囲を画するのは、在留資格該当性の有無になります(入管法19条1項1号)。
仮に、在留資格該当性がない就労活動を行った場合に、本人及び関係企業等に刑事罰が科されることになります。
したがって、在留資格該当性を正確に理解しなければ、外国人本人のみならず、外国人を受け入れている企業も、刑事責任を課されるリスクを負うことになります。
資格外活動許可
在留資格には、就労が認められるものと、就労が認められないものに分類されます。
もっとも、在留資格の内、就労が認められない資格であっても、資格外活動許可を得ることで、就労ができるケースもあります。以下では、資格外活動許可を得ることで就労が認められるケースについて紹介します。
在留資格「留学」「家族滞在」:就労不能資格
在留資格「留学」「家族滞在」は、就労不能資格とされます。
もっとも、これらの在留資格であっても、資格活動許可を得た場合、その範囲内で就労が認められます。
一般には、週28時間以内(在留資格「留学」の場合、学則上の長期休業期間中は1日8時間以内)で、風俗営業関係は除かれるものの、就労先等を特定せずに単純就労も含めて包括的に就労が許可されます(在留資格「留学」の場合、教育機関に在籍中に限られます。)(入管法施行規則19条5項1号)。
就職活動を理由とする「特定活動」等
週28時間の範囲内で、資格外活動が包括的に許可されます。
資格外活動許可の範囲を超えた就労は違法
就労不能資格であっても、資格外活動許可を得ることで就労が可能となりますが、注意しなければならないことは、あくまでも資格外活動許可を得た範囲での就労が認められるに過ぎないという点です。
仮に、資格外活動許可の範囲を超えて就労すれば、外国人(ここから下線)本人及び関係した企業等には刑事罰等が科されることになります。(下線おわり)
資格外活動許可を得た場合における就労上の留意点を整理すれば、以下のとおりです。
- どの日から起算しても制限時間内でなければならない
- 掛け持ち先も含めての合計就労時間が制限時間内でなければならない
- 風俗営業関係は許可の対象外
- 在留資格「留学」の場合、退学・除籍等により教育機関に在籍しなくなった場合は許可の範囲外
在留期間を延長する方法
在留資格は、それぞれに在留期間が設定されています。在留期間を過ぎて日本に滞在すると不法滞在(オーバーステイ)となってしまいますが、在留期間を延長する方法が設けられています。
在留期間を延長する方法としては、①在留期間更新の許可申請、②在留資格の変更申請、が挙げられます。
在留期間の更新・変更の許可基準については「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン(改正)」が公表されていますので、詳しくはこちらをご参照ください。
改正入管法における新設の在留資格について
2018年改正入管法新設「特定技能1号」「特定技能2号」
2018年改正入管法では、新たに「特定技能1号」、「特定技能2号」の在留資格が創設されています。
新たに在留資格が創設された経緯は、人材不足が予測される産業分野において、即戦力になる外国人労働者を確保するための方策の一環として機能することが期待されていることにあります。
「特定技能1号」とは
特定技能1号の定義
「特定技能1号」とは、特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格をいいます。ここでいう「特定産業分野」とは、以下の14分野をいいます。
なお、特定産業分野(14分野)については、各所管省庁等によって分野別に運用方針・運用要領が定められています。分野別運用方針・運用要領に加え、分野別の協議会や試験に関する情報、説明会資料等の情報(各所管省庁のホームページ)で確認できます(JITCO・HP)。
- 介護
- ビルクリーニング
- 素形材産業
- 産業機械製造業
- 電気・電子情報関連産業
- 建設
- 造船・舶用工業
- 自動車整備
- 航空
- 宿泊
- 農業
- 漁業
- 飲食料品製造業
- 外食業
特定技能1号のポイント
特定技能1号のポイントは、以下の5点になります。
- 在留期間:1年、6か月又は4か月ごとの更新、通算で上限5年まで
- 技能水準:試験等で確認(技能実習2号を修了した外国人は試験等免除)
- 日本語能力水準:生活や業務に必要な日本語能力を試験等で確認(技能実習2号を修了した外国人は試験等免除)
- 家族の帯同:基本的に認めない
- 受入れ機関又は登録支援機関による支援の対象
「特定技能2号」とは
特定技能2号の定義
「特定技能2号」とは、特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格をいいます。「特定技能2号」では、上記14分野のうち、⑥建設と、⑦造船・舶用工業、の2分野のみ受け入れ可能とされています。
特定技能2号のポイント
特定技能2号のポイントは、以下の5点になります。
- 在留期間:3年、1年又は6か月ごとの更新
- 技能水準:試験等で確認
- 日本語能力水準:試験等での確認は不要
- 家族の帯同:要件を満たせば可能(配偶者、子)
- 受入れ機関又は登録支援機関による支援の対象外
就労が認められる在留資格の技能水準
特定技能1号、2号いずれも一定の技能水準が求められますが、それぞれの技能水準の位置付けを整理したものが以下の図表となります。
専門的・技術的分野
該当例
- 高度専門職(1号/2号)
- 教授
- 技術/人文知識/国際業務
- 介護
- 技能 等
新たに創設する在留資格
特定技能2号
ハードル
高
特定技能1号
ハードル
低
非専門的・非技術的分野
該当例
- 技能実習
「特定技能」有資格者が就労を開始するまでの流れ
「特定技能1号」「特定技能2号」有資格者が、就労を開始するまでの流れは、以下のフローチャートをご参照ください。
受入れ機関に求められる要件
受入れ機関(特定技能所属機関)とは、特定技能外国人を実際に受け入れ、支援する企業・個人事業主等のことをいいます。
受入れ機関(特定技能所属機関)は、外国人材と雇用契約(「特定技能雇用契約」という)を結ぶ必要があります。
特定技能雇用契約では、外国人の報酬額が日本人と同等以上であることを含め以下の基準に適合していることが求められます。
受入れ機関が外国人を受け入れるための基準
- 外国人と結ぶ雇用契約(特定技能雇用契約)が適切であること(例:報酬額が日本人と同等以上)
- 受入れ機関自体が適切であること(例:5年以内に出入国・労働法令違反がない)
- 外国人を支援する体制があること(例:外国人が理解できる言語で支援できる)
- 外国人を支援する計画が適切であること
受入れ機関(特定技能所属機関)の義務
- 外国人と結んだ雇用契約を確実に履行すること(例:報酬を適切に支払う)
- 外国人への支援を適切に実施すること(支援については、登録支援機関に委託も可。登録支援機関に全部委託すれば上記3の基準を満たす)
- 出入国在留管理庁への各種届出を行うこと
(注)1〜3を怠ると外国人を受け入れられなくなるほか、出入国在留管理庁から指導、改善命令等を受けることがあります。
登録支援機関に求められる要件
登録支援機関とは、受入れ機関(特定技能所属機関)から委託を受け、1号特定技能外国人支援計画の全ての業務を実施する者のことです。受入れ機関(特定技能所属機関)は、特定技能1号外国人に対し支援を行わなければなりませんが、その支援を全て委託することができます。委託を受けた機関は、出入国在留管理庁長官の登録を受けることで「登録支援機関」となることができます。
登録支援機関として登録するための要件は、以下のとおりです。
(1)支援責任者及び1名以上の支援担当者を選任していること
(2)以下のいずれかに該当すること
- 登録支援機関になろうとする個人又は団体が、2年以内に中長期在留者の受入れ実績があること
- 登録支援機関になろうとする個人又は団体が、2年以内に報酬を得る目的で、業として、外国人に関する各種相談業務に従事した経験を有すること
- 選任された支援担当者が、過去5年間に2年以上中長期在留者の生活相談業務に従事した経験を有すること
- 上記のほか、登録支援機関になろうとする個人又は団体が、これらと同程度に支援業務を適正に実施できると認められていること
(3)1年以内に責めに帰すべき事由により特定技能外国人又は技能実習生の行方不明者を発生させていないこと
(4)支援の費用を直接又は間接的に外国人本人に負担させないこと
(5)刑罰法令違反による罰則(5年以内に出入国又は労働に関する法令により罰せられたなど)を受けていないこと
(6)5年以内に出入国又は労働に関する法令に関し著しく不正又は不当な行為を行っていないことなど
まとめ
在留資格とは、「外国人が日本に在留して活動を行う上での資格」であり、外国人が適法に日本で生活していく上でも、企業が外国人を雇用する上でも、正しく理解・運用する必要があります。
さらに、平成30年改正入管法によって「特定技能」という新たな在留資格が創設されたこともあり、在留資格制度はより多様化・複雑化しています。首都圏内に限らず、地方都市圏であっても、深刻な人手不足に対応するために、外国人を雇用する企業は一層増加することが予想されます。
外国人を雇用する企業にとって、在留資格制度をはじめとする入管法関係諸法を正しく理解・運用することができるかどうかは、コンプライアンス上極めて重要といえます。